2020-21年、怒涛の9勝を挙げて賞金女王に輝き、東京五輪ではプレーオフでリディア・コを下し堂々の銀メダル。世界の女子ゴルフ界に“Mone Inami”という名前が刻まれたあの年を、ファンは今も鮮明に覚えています。
しかし2024年にはアメリカツアーに挑むも出場18試合で予選落ち10試合となじめず撤収、その後は腰痛との戦い、コーチの変更、成績不振と、試練続きの日々。かつての強さが影を潜めた彼女に、一部からは「もう終わった選手なのか」との声すら聞こえてきました。
2025年は日本ツアーに復帰するも5月現在5試合に出場もサロンパスカップの44位が最高という状況。
――だが、それでも私たちは信じたい。稲見萌寧は“逆転”できる選手だと。
新コーチとの“ブレイクスルー”
東京五輪で銀メダルを獲得したときにタッグを組んでいた奥嶋誠昭コーチとは2022年に契約を解消。2023年からタッグを組んだのは、セキ・ユウティン選手のコーチとしても知られる奥村竜也コーチでした。「腰痛をスイングで治す」ことに取り組み、当時は本人も「痛みは減ってきた」と手応えを語っていました。
そして2024年からは柳橋章徳コーチ率いる「形ではなく、中身を追い求める」ことを目指す「チームブレイクスルー」の一員としてまさに「ブレイクスルー」に挑戦しているようです。
今の彼女は「ルーキー気分」と語るように、再スタートを切ったばかりの状態。だからこそ、ここからの“逆転劇”にこそ価値があるのです。
ファンの声が支える「ハードすぎる自主トレ」
復活を信じるファンにとって、最近の彼女のSNS投稿は“希望の証”になりました。
白Tシャツにブルーのスパッツ姿で挑むのは、筋肉痛必至の超ハードトレーニング。腹筋・縄跳び・ミット打ち・サーキットトレーニング…さらには「トランプトレーニング」という遊び心も交えた独自メニュー。
笑顔の裏にあるその鬼気迫る努力は、まさに“逆転を狙う者の覚悟”そのもの。
その様子を見たファンからは、「見てるだけで筋肉痛」「笑顔が眩しい」「もう一度勝つ姿が見たい!」とコメントが殺到。かつて“試合中に誰彼かまわず話しかけて相手がうんざりするほどの天真爛漫ぶり”を見せた稲見萌寧選手――その明るさと勝負強さを、ファンは忘れていないのです。
逆転のキーワードは「パーオン率」
稲見萌寧選手の代名詞とも言える“パーオン率”。2020-21年には堂々の1位、2022年シーズンはわずか0.0154%差で山下美夢有選手に次ぐ2位。この数字こそ、稲見萌寧という選手のコアスタッツであり、強さの源泉なのです。
このパーオン率が2023年には9位に落ちていました。
本人も「小さい頃から生命線だった」と語るこのスタッツを、再びトップに戻すことが、復活の証になる――そう信じて、彼女は今日もハードトレーニングを続けています。
“間に合ってない”と言いながら戦う、その姿にこそ価値がある
2025年シーズンの開幕戦前、「正直ちょっと間に合ってない。不安の方が大きいです」と語った稲見萌寧選手。でも、その言葉の裏には、「それでも諦めない」という強い意思がありました。
苦しみながらも挑戦する人間の姿は、美しく、そして強い。だからこそ、多くのファンが“逆転女王”の復活を心から願っているのです。
▼編集後記:稲見萌寧は「逆転」を体現する選手である。
私たち逆転トレンド研究所が注目するのは、ただの勝者ではありません。
“どん底からもう一度這い上がる人間”の姿にこそ、リアルで胸を打つドラマがあります。
稲見萌寧選手は今、ゼロからのスタートに立っているはずです。
痛みを抱え、不安を抱え、それでも前に進む彼女の姿は、間違いなく「逆転の物語」の始まりを予感させます。
JLPGAツアー13勝、生涯獲得賞金5億6千万円の実力は伊達じゃない。
黄金世代とプラチナ世代の間の「はざま世代」。まだまだ若い25歳です。
この先、稲見萌寧選手が18番ホールで優勝カップを掲げるその日まで、私たちはこのネバーギブアップストーリーを見届けていきたいと思います。
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