かつて「ワンコインランチ」でサラリーマンの胃袋をつかんでいたさくら水産。その代名詞とも言える500円ランチが、静かに姿を消していたのをご存知でしょうか?
「安い・早い・お腹いっぱい」——そんなイメージから一転、今では“ちょっといい和食ランチ”を楽しめる店として生まれ変わっています。
驚くべきはその結果。女性客が明らかに増加しているという、まさに“逆転現象”が起きているのです。
安さ一辺倒から「脱却」した決断
さくら水産は長年、日替わりの焼き魚やフライ定食をワンコイン(500円)で提供し続けてきました。味噌汁やご飯、生卵、漬物が食べ放題という大盤振る舞いで、特に都心のサラリーマンに絶大な人気を誇っていました。
しかし、コロナ禍によるリモートワークの普及や原材料価格の高騰で、かつてのような“薄利多売”モデルは維持困難に。
そこで経営陣が下したのが、「安さ」からの卒業でした。
ターゲット変更が生んだ“逆転”の流れ
現在のさくら水産のランチは、1,000円前後の和定食が中心。
それに合わせて内装も落ち着いた雰囲気に変えられ、「ガッツリ系」から「丁寧な食事」を楽しむスタイルへと変貌。
この方針転換が、思わぬ客層の逆転を生み出しました。
「前は女性一人では入りにくかった。今は落ち着いた雰囲気で、むしろ女性の方が多いこともあります」(利用者の声)
実際、ランチタイムには女性客の割合が明らかに増加しているとのこと。
SNSでも「さくら水産、イメージ変わった」「女性でも入りやすくなった」という声がちらほら見られます。

なぜ「安さ」にこだわらない選択が成功したのか?
この現象は、現代の消費者心理とも合致します。
- 価格よりも「満足感」や「雰囲気」を重視
- 健康や安心感のある和食へのニーズ
- “コスパ”より“タイパ”重視の傾向
つまり、安さを追求していたころよりも、「選ばれる理由」が明確になったのです。
「逆転」は“価値を変える”ところから始まる
今回のさくら水産の事例は、まさにブランド価値の再構築による“逆転劇”。
誰もが予想しなかった「女性比率の増加」という現象は、「客単価は下がるとダメ」という常識を覆した好例です。
「さくら水産=安いランチ」というイメージから、「さくら水産=落ち着いた和食ランチ」へ。
価格を上げたことで、客層が広がる。
これこそが現代のマーケティングにおける、真の逆転現象と言えるのではないでしょうか。
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