◆ はじめに|「備蓄米」は「流行語大賞」?でもちょっと待った!
2025年5月、スーパーやコンビニに「備蓄米」が並び始め、話題になっています。背景にはコメ不足――政府は緊急措置として備蓄米を放出しました。
でも、ちょっと待ってください。
この「備蓄米」、もともとは政府が私たちの「税金」で買ったもの。その米をまた市場で消費者に売っているのだとしたら――これって、消費者は二重に払っているのでは?
今回はその「価格の裏側」と「ニュースに出てこない疑問」に迫ります。
◆「 備蓄米」とは?本来の役割と構造
「備蓄米」は、主に災害や不作時に備える“政府の非常食”。政府が農家や農協から米を買い取り、長期保存してきたものです。
購入の際に使われるのは国の予算、つまり私たちの税金。倉庫保管や管理費も税金でまかなわれています。
しかし今回、想定外の「米不足対策」として、これが市場に流通することになりました。
◆ 政府の「買値」と「売値」の差とは?
では実際、政府はいくらで買って、いくらで売っているのでしょうか?
農林水産省の公式ウェブサイトから見てみます。

✅ 政府の購入価格(農家からの買い取り価格)
1俵(60kg)あたり 約13,000円
➡ 5kg換算で約1,083円
これは入札でなく、農協などからの契約ベースでの価格とみられ、実質的には税金から支払われています。
✅ 政府の売却価格(2025年3月の入札結果)
- 第1回入札価格:60kgあたり 約21,217円(税抜)
- ➡ 5kgあたり 約1,768円
- 第2回入札価格:60kgあたり 約20,722円(税抜)
- ➡ 5kgあたり 約1,727円
差額:5kgあたり 約644円(税抜)
つまり、税金で買って保管していた米を、600円以上上乗せして市場に流している計算になります。
◆ コンビニやスーパーに並ぶ“古古古米”の実態
さらに2025年6月5日からは、ローソンやファミマで「古古古米(3年以上前の備蓄米)」が販売開始。
- 1kg:360円(税抜)
- ➡ 2kg:700円(税抜)
- ➡ 5kg換算で 約1,750円
この価格帯、入札時の売却価格と同水準。しかも「古古古米」が「古古米」とほぼ同じ価格で並んでいるのが実情です。
風味や品質の劣化は否めませんが、値段は市場価格。これは果たしてフェアと言えるでしょうか?
◆ 逆転の発想で考える:誰のための備蓄か?
「税金で買って高く売る」構図に、モヤモヤを感じる人は少なくないはずです。けれど、ここであえて逆転の視点を持ってみましょう。
✅ 本来なら捨てられるはずの古古古米が有効活用された
✅ 災害時以外にも、供給不足という“緊急事態”に備蓄が役立った
✅ 備蓄制度の存在価値が再確認された
とはいえ、こうした緊急措置をきっかけに「税金の使われ方」や「米の流通の透明性」に光を当てることは、消費者の権利としてとても重要です。

政府にはせめて今回儲けた分で「新しい古米」を買って、いつ来るかわからない国家の危機のために早急に備蓄してもらいたいと思います。
◆ 結論|“お米の値札”の奥にあるものを見よう
スーパーの棚に並ぶ1袋の米――その値段の背景には、税金、契約、備蓄政策という複雑な仕組みがあります。
「政府が税金で買った米を、なぜ私たちが再び買わなければならないのか?」
こうした素朴な疑問こそが「逆転トレンド研究」の第一歩です。
今後も「逆転トレンド研究所」では、表に出ない視点や逆転の発想で、「ニュースの裏側」を読み解いていきます。
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