2025年6月10日のワールドカップアジア最終予選C組、日本 vs インドネシアの試合を観た日本のサッカーファンの多くは、正直こう感じたのではないでしょうか?
「試合の記憶はあまりないけど、あのクライファートがスーツ姿でベンチに立っていたのは印象的だった」と。
しかし、そのスーツ姿の中に秘められた“逆転の物語”がいま、東南アジアで動き始めています。
この記事では、元オランダ代表・クライファート氏の輝かしいキャリアを紹介しつつ、彼が託されたインドネシア代表の使命、そして3億人の夢であるワールドカップ出場の可能性について迫ります。
あのクライファートがアジアに来ていた!
かつて世界を沸かせたオランダのストライカー、パトリック・クライファート。
1995年、アヤックス2年目の19歳の時、チャンピオンズリーグ決勝ACミラン戦で途中出場で決勝ゴールを決めた神童。
アヤックス、バルセロナ、ACミラン、ニューカッスルなど、欧州の名門を渡り歩き、オランダ代表では79試合40ゴール。EURO2000では得点王にも輝きました。
そのレジェンドが2025年1月にインドネシア代表の監督に就任、なんと6月10日パナソニックスタジアム吹田のピッチサイドに立っていました。
まさかこのアジア最終予選で、スーツ姿のクライファート氏を見る日が来るとは…これぞ「逆転劇」そのものです。

なぜクライファートはインドネシアに来たのか?
2024年、インドネシアサッカー協会はW杯出場という悲願に向け、世界的ネームバリューを持つ指導者の招聘に動きました。
そして白羽の矢が立ったのがクライファート氏。彼は監督業としてはまだ発展途上ながら、U-20オランダ代表やパリ・サンジェルマンの育成ディレクターなどで若手育成の手腕を発揮しており、「これから成長するチーム」を率いるには最適な人材だったのです。
インドネシア代表は若く、未成熟な部分も多いですが、アジアカップでの躍進(ベスト16)など、ここ数年で確実に成長しています。
クライファート氏は単なる象徴ではなく、「夢を現実に変えるキーマン」として迎えられました。
インドネシアサッカーの発展と“3億人の悲願”
インドネシアの人口は約2.8億人(※国連予測では近く3億に到達)。世界第4位の大国ながら、これまでワールドカップ本大会への出場は1938年大会(オランダ領東インドとして参加)のみ。つまり実質的には「インドネシア共和国」としての出場歴はゼロということです。
国内リーグ(リーガ1)は2017年に再編され、外国人選手や監督の招聘も積極的に行われています。スタジアムも続々と改修され、若年層の育成にも国家レベルの支援が入っています。
サッカーは国民的スポーツであり、W杯出場はまさに「国民の悲願」になっています。
その夢を叶えるため、今インドネシアは本気で動いているのです。
日本戦の結果と、ここからの長い道のり
2025年6月10日、日本代表との一戦では敗れはしたものの、インドネシア代表はアジア最終予選を4位で通過しプレーオフへの進出を決めています。
この結果は、まさに歴史的快挙。インドネシアがワールドカッププレーオフに進むのは初めてのこと。そこには、クライファート監督の手腕と若き選手たちの奮闘、そして何より3億人の後押しがありました。

◆ワールドカップへの道:次はアジアプレーオフ→大陸間プレーオフ
アジアプレーオフは、最終予選の各組3位・4位チームが2組に分かれそれぞれの1位チームが出場権を得ます。その6チームは以下の通り。試合は今年の10月に行われます。
・アラブ首長国連邦(A組3位)
・カタール(A組4位)
・イラク(B組3位)
・オマーン(B組4位)
・サウジアラビア(C組3位)
・インドネシア(C組4位)
さらに各グループの2位同士が戦い勝者が「大陸間プレーオフ」へ向う。
この“最後の関門”は、南米や北中米、アフリカの強豪国と激突する極めてハードな舞台。ここから1チームが出場権を得られます。試合は2026年3月に行われます。
・アジア(AFC):5次予選勝者
・アフリカ(CAF):プレーオフ勝者
・南米(CONMEBOL):予選リーグ7位
・北中米カリブ海(Concacaf):3次予選グループ2位の上位2チーム
・オセアニア(OFC):ニューカレドニア
つまり「アジアプレーオフ」か「大陸間プレーオフ」を突破すれば、ついに「インドネシア共和国として初のW杯出場」が実現するのです。
インドネシアにとってはこれからまだまだ長い戦いが続きます。クライファート氏にとってもまだ戦いは始まったばかりなのです。
おわりに
日本にとっては“新顔のテスト”だったかもしれない6月10日の試合。
でも、スーツ姿のクライファートが立っていたインドネシア・ベンチには、3億人の夢と、プレーオフへの野望が詰まっていました。
「インドネシアがW杯に行くなんて無理だろ?」
そんな声があったとしても――それこそが“逆転”の原動力。
私たち「逆転トレンド研究所」は願います。
世界を知るクライファートが、その知見と情熱で、インドネシアを悲願のワールドカップへ導いてくれることを。
そして、このアジアの大国がついに世界の大舞台で戦う姿をこの目で見られる日が来ることを――。
📝補足:クライファートの息子たちもすごい!
ちなみに、クライファート氏の息子ジャスティン・クライファートもオランダ代表FWとして活躍中。まさに「クライファート家」は、サッカーの血を受け継ぐ名門です。
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