華やかな笑顔。抜群のスタイル。圧倒的な存在感──。
原英莉花選手は、間違いなく日本女子ゴルフ界のスターだった。
2018年のプロテスト合格からわずか1年で初優勝。2020年には「日本女子オープン」と「リコーカップ」の公式戦2冠。まさに黄金世代のトップランナーとも言える活躍を見せた彼女が、今、米国下部ツアー(エプソンツアー)で孤軍奮闘している。
なぜ、ここまでの実績を持つ彼女が、わざわざ“下部ツアー”からの再挑戦を選んだのか?
スターからチャレンジャーへ──彼女が選んだ「逆転」の道
実は、原英莉花選手はこれまでにも何度か米ツアー挑戦を試みていた。
しかし上田桃子選手や稲見萌寧選手、竹田麗央選手と同じ「TOTOジャパンクラシック優勝」からのアメリカツアー参戦は4度の失敗に終わる。
そして2024シーズンの出場権をかけた2023年のアメリカツアー予選会(Qスクール)。
2次予選の3日目、痛恨のスコア誤記というミスで最終日に進めなくなった。致命的な自己責任により、自らチャンスを潰してしまったのだ。

この年、吉田優利選手と西郷真央選手がツアー切符を手にした。
2024年は日本ツアーに参戦しながら、Qスクールを目指した。
しかし最終予選まで進んだが出場権は得られなかった。
この年は山下美夢有選手、吉田優利選手(再)、岩井姉妹、馬場咲希選手の5人が出場権を獲得。

そしてここで彼女は決断する。
日本ツアーのシード権を自ら手放し、2025年シーズンからアメリカ下部ツアーであるエプソンツアーへ本格参戦。
これは、前例のない道だった。
これまでに日本選手でこのルートから米女子レギュラーツアーに昇格した選手はいない。
黄金世代の同期たちの背中を追いかけて
アメリカツアーではすでに黄金世代の同期たちが結果を残している。
- 畑岡奈沙選手 アメリカツアー6勝
- 渋野日向子選手 全英女子オープン優勝
- 勝みなみ選手 Tモバイルマッチプレー5位
彼女たちはいまやアメリカツアーの日本人“最年長世代”となっている。
その下には、古江彩佳選手、西郷真央選手(ジャンボ尾崎門下の後輩)、竹田麗央選手といった若手が次々と米ツアーで存在感を示し、勝ち星も挙げている。
そんな中「原英莉花」の名前はしばらく見かけなくなった。
だが、彼女は表舞台から消えたわけではない。
むしろ一番過酷な道を歩む決意をして一歩ずつ進んでいたのだ。
ギャラリーがほとんどいないフェアウエイを真っすぐと。
7試合連続予選通過、そして今季3度目のトップ10!
原英莉花選手はエプソンツアーで今季ここまで7試合すべて予選通過。
直近では「ファイアキーパーズ・カジノ・ホテル選手権」で7位タイフィニッシュ(通算8アンダー)。
見事、3度目のトップ10入りを果たしている。
ポイントランキングでは14位(458.295pt)と、トップ10圏内も見えてきた。
- 10位以内 ⇒ 来季レギュラーツアーの出場権(カテゴリー9)
- 11〜15位 ⇒ 条件付き出場権(カテゴリー15)
シーズンは10月まで残り12試合。
ここからの一戦一戦が運命を左右する勝負だ。
「あの原英莉花が、這い上がってきた」──その瞬間を見たい
原英莉花選手のように、美しさと実力を兼ね備えた選手が、プライドを脱ぎ捨て、ゼロから這い上がる姿には、他の誰にもない物語性がある。
もし彼女がこの逆境を乗り越え、来季の米レギュラーツアーにたどり着いたとしたら──
それは日本女子ゴルフ界にとって、いやスポーツ全体にとっても最大級の逆転ドラマとなるに違いない。
✍️【逆転トレンド研究所】は原英莉花の挑戦を追い続けます。
これは単なるゴルフの話ではない。
「安住」から抜け出し、「挫折」から学び、「信念」でもう一度戦う。
原英莉花、米下部ツアーからの逆襲。
その物語の続きと劇的なフィナーレを、私たちは見届けます。
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