渡邉彩香、3年ぶり優勝~飛距離を捨てて新しい自分に出会った

国内女子ゴルフツアーに、ひときわ熱い逆転劇が生まれました。舞台は福岡県ザ・クイーンヒルズGCで行われた「大東建託・いい部屋ネットレディース」。その名の通り、大東建託社が冠スポンサーを務めるこの大会で、10年間大東建託と所属契約を結んでいる渡邉彩香選手が3日目7位タイから見事に3年ぶりの逆転優勝を飾りました。

しかも今回は「渡邉彩香のイメージ」をいい意味で裏切る勝ち方。豪快なドライバーショットが代名詞だった彼女が、最終日に選んだのはまさかの“ドライバー封印”。そこには、「勝つために、飛ばさない」という覚悟がありました。


シード落ち、進退の迷い、そして──続けたからこその歓喜

2023年、渡邉選手は3度目のシード落ちを経験。プロ入り以来、期待とプレッシャーの中で戦い続けてきた彼女にとって、それは大きな試練でした。進退すら迷う中で支えになったのは、先輩・上田桃子選手のひとこと。

「自分がもっとやれるっていう気持ちがあるうちは、絶対に強くなれるよ」

この言葉でふたたび立ち上がった渡邉選手を、10年にわたってサポートしてきた大東建託もシード落ちしたにも関わらず離れませんでした。優勝後、「いい時も悪い時も応援してくださった。選手としては本当に幸せ」と涙ながらに語った姿には、多くのファンが胸を打たれたはずです。


「逆算思考」で掴んだ勝利

最終日、渡邉選手は“いつもの自分”をあえて捨てました。ドライバーに代えて手にしたのは3W(スプーン)。飛距離ではなく「勝つためのスコアメイク」を最優先にする冷静な戦略。

「ビッグスコアを出さないといけない。フェアウエーからアイアンでチャンスを作りたい」

その言葉通り、イーグルを奪った6番パー5をはじめ、スコアを伸ばしたホールはすべて3Wで攻略。得意技を封じてまで勝利を逆算したこの判断こそ、「逆転を起こす法則②:逆算思考が戦略を生む」の象徴です。


「感情の爆発」が場を支配する

もう一つの変化は、その表情と仕草にありました。

普段は感情をあまり表に出さないタイプの渡邉選手が、この日は何度もガッツポーズを繰り出し、気迫のこもった表情を見せていました。本人いわく「無意識に出た」そうですが、そのエネルギーが観客を引き込み、会場全体の空気を変えたのです。

これもまた「逆転の法則⑥:感情の爆発が場を支配する」が発動した瞬間だったといえるでしょう。


自信がなくても、やり続けたから

渡邉選手がこれまでの5勝で見せてきたのは「自信満々の強さ」でした。しかし6勝目となった今回の勝利は、自信がなかったからこそ得られた「新しい強さ」。

「今週は自信がなかったけど、できることをやり続けた。今までの自分にはない勝ち方。これからに生きてくる」

この勝利が、きっと彼女をさらに進化させるはずです。


変身した飛ばし屋、後半戦のキーパーソンに

強さとは、ただ勝つことではなく、勝ち方を変えられること。飛距離を捨てたことで出会えた「新しい自分」。渡邉彩香選手は今、変化と覚悟を手にした真の勝者となりました。

後半戦、ギアを入れ直した渡邉彩香選手のプレーから目が離せません。


逆転の法則から見る渡邉彩香の勝利

  • 逆転を起こす法則②「逆算思考」が戦略を生む
     → 最終日、ドライバーを封印し3Wでスコアメイクに徹した
  • 逆転を起こす法則⑥「感情の爆発」が場を支配する
     → 無意識のガッツポーズと気迫の表情が、流れを変えた

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