「逆転」とは、不可能を可能に変えた力の物語である。
世界を震わせたその瞬間、そこには“共通の構造”があった。スポーツ、ビジネス、政治、エンタメ——。
ここでは、【逆転を起こす10の法則】に合致する「記憶に残る逆転劇」を厳選して紹介します。あなたの人生や競技にも、きっと使える“逆転のヒント”があるはず。
【1】スポーツ:バルセロナ「Remontada(レモンターダ)」
2017年 UEFA CL バルセロナ vs パリSG
サッカー史上に残る大逆転劇。第1戦で0-4と大敗したバルセロナが、第2戦で怒涛の6-1勝利。CLベスト16で史上初の「4点差からの逆転突破」を果たした。諦めない気持ちと怒涛の攻撃が“レモンターダ(大逆転)”という言葉を世界に刻んだ。
▶️法則:「失敗は燃料」×「感情のエネルギー化」
→前代未聞の大逆転劇。“レモンターダ”は世界の逆転の代名詞に。
【2】スポーツ:日本代表 vs ドイツ・スペイン(カタールW杯)
2022年 FIFAワールドカップ グループE
「死のグループ」と呼ばれたカタールW杯。格上ドイツ、スペインを逆転で下した日本代表は、戦術とメンタルで世界を驚かせた。後半からのシステム変更、若手の躍動、そしてあの“三笘の1mm”。弱者が強者を倒す戦略の教科書となった。
▶️法則:「無名の一撃」×「弱者の視点戦略」
→世界を驚かせた2つの逆転勝利。森保采配の妙とチームの結束。
【3】ビジネス:アップルの復活(ジョブズ復帰)
1997年~:倒産寸前→iMac→iPhone革命へ
倒産寸前だったアップルに、創業者ジョブズが復帰。古巣NeXTの技術を活かしiMacを発表、続いてiPod・iPhoneへ。大胆なプロダクト改革と感性主導の哲学で、アップルは世界最大のテック企業へと“逆転”した。敗者が救世主になる好例。
▶️法則:「原点回帰」×「強みの再発見」
→創業者ジョブズが帰還。失敗の蓄積が“世界最強企業”の種に。
【4】ビジネス:任天堂スイッチの大逆転
WiiUの失敗→Switchで世界制覇
不発に終わったWii Uの失敗を受け、任天堂は「持ち運べる据え置き機」という新発想に舵を切った。ゲームプレイの原点を見つめ直し、Switchで世界のゲーム市場を制覇。柔軟な思考と発想の転換が生んだ、ゲーム史に残る逆転劇である。
▶️法則:「失敗は燃料」×「しがらみを壊す」
→過去の失敗を活かし、柔軟なアイデアで“遊び”の本質へ回帰。
【5】政治:マクロン大統領の急浮上(フランス)
政党ゼロ→39歳で大統領当選(2017年)
39歳の若き無所属候補が、既成政党を押しのけて大統領に就任。自ら新党「前進(En Marche!)」を立ち上げ、保守・革新の中間という新しい立ち位置を打ち出した。フランス政治の潮目を変えた“第三の道”による歴史的な逆転勝利。
▶️法則:「立ち位置をズラす」×「無名の一撃」
→既成政党をすり抜けた“第三の道”。無所属からの逆転劇。
【6】スポーツ:箱根駅伝 青山学院大 初優勝(2015年)
「笑顔の大作戦」で挑んだ箱根駅伝。常連強豪校を相手に、無名に近かった青学が堂々の初優勝。原晋監督のユニークな指導と選手の成長戦略が結実し、以降は常勝軍団に。小さな努力の積み重ねとチーム改革が起こしたスポーツの逆転物語。
▶️法則:「無名の一撃」×「小さな積み上げ」
→“笑顔の大作戦”で、常勝校に挑む挑戦者が王者に。
【7】ビジネス:レゴ社の復活
経営破綻寸前→ブランド改革で再成長
2000年代初頭、レゴは事業拡大の失敗で経営危機に陥る。しかし原点である“ブロック遊び”に立ち返り、ブランドを再構築。スターウォーズとのコラボや映画戦略も成功し、再び子どもと大人に愛されるブランドに。手放すことで生まれた逆転劇。
▶️法則:「手放す勇気」×「一点突破」
→事業をスリム化し、原点「ブロックの創造性」へ立ち返った逆転劇。
【8】人生:米俳優ロバート・ダウニーJr.の再起
薬物依存・逮捕歴→アイアンマンで復活
度重なる逮捕、薬物依存でキャリア崩壊寸前だった俳優ロバート・ダウニーJr.。しかし2008年、『アイアンマン』で見事に復活。過去を“役柄”に昇華することで、自らの弱みを武器に変えた。人生のどん底から逆転した、リアルなヒーロー伝説。
▶️法則:「挫折の語り直し」×「新しい舞台」
→過去の失敗を自らの“演技力”で逆手に取った、リアル逆転人生。
【9】文化:韓国映画「パラサイト」の世界的快挙
韓国映画初のアカデミー賞作品賞(2020年)
非英語作品として初めてアカデミー賞作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』。韓国社会の格差を鋭く描いた本作は、世界の共感を呼んだ。“韓流=エンタメ”の枠を超えた、映画の評価軸を変える逆転劇。新しい価値感が古い壁を打ち破った。
▶️法則:「文脈を読み替える」×「評価軸の逆転」
→ハリウッドの文脈で語られなかった作品が、世界の主流に。
【10】社会:ウクライナの情報戦(2022年〜)
圧倒的不利な状況→国際世論を動かすPR戦略
ロシアの侵攻という絶望的状況下で、ゼレンスキー大統領はSNSと演説を武器に国際世論を味方につけた。感情に訴える情報戦と映像戦略で、“被害者”から“英雄国家”へと印象を変えた逆転PR。戦争の主導権を情報で取り返した現代の闘い方。
▶️法則:「感情のエネルギー化」×「一点突破」
→SNS・演説・国際支援をフル活用した「言葉の逆転劇」。