逆転トレンド研究所<メンタル分析室>~渋野日向子研究➀
渋野日向子選手にとって今年のアメリカツアー初戦となった
Blue Bay LPGA。
日本からも多くの選手が出場したが、ファンの視線はやはり
渋野日向子選手に集まっていた。
しかしなんとか予選は通ったものの
最終日は米女子ツアーでワーストの81を叩いて50位タイに終わった。
2019年、全英女子オープンを制し「スマイルシンデレラ」と呼ばれた渋野日向子選手。
あれから7年――。
世界を驚かせたあの輝きと笑顔を、もう一度見たいと思っているファンは多い。
だが最近、こんな声も聞こえてくる。
「シブコ、なかなか勝てないな…」
「日本に帰ってきた方がいいかも・・・」
逆転トレンド研究所では、メンタルアナリスト/ホリシン(心理的資本開発指導士)を中心に
トップアスリートのメンタルを分析しています。
今回のテーマは「渋野日向子はなぜ苦戦しているのか?」
<うるさい理論派>フカボリと<情報レポーター>カタヒラの素朴な疑問に対し
ホリシンはどう分析するのか・・・

今年もアメリカのLPGAが始まりましたね。ブルーベイLPGA。日本勢も出てましたが、やっぱり注目は渋野日向子選手でした。

そりゃそうだろう。2019年の全英女子オープン優勝は日本女子ゴルフ史でも衝撃だったからな。あれでシブコの名前はゴルフを知らないおっさんにも知れ渡った。

ただ最近は、なかなか優勝争いに絡めていませんね。

どこに問題があるんだろう?

そこで今回は渋野日向子研究です。“技術とメンタルの両面”から分析してみましょう。
① 技術面の変化:スイング改造中?

まず技術面の話をしないといけない。
2024年から渋野選手はコーチを変えている。
いまは上田桃子選手や小祝さくら選手を指導した辻村明志コーチの指導を受け、スイング改造に取り組んでいるようだ。
ポイントはトップまでの動きだ。渋野本人はこう語っている。
「バックスイングで、これまでより体の近くで腕を上げる動き。トップまでの動きは自分の中でも大事。」
さらに
「高さを気にすると手ばかりに力が入るので、動きを大事にしたい」
つまりスイングの再構築を進めている段階と言える。
スイング改造は時間がかかる。これは普通のことだ。

つまり今は“進化の途中”ということですね。
② しかし気になるデータもある?

ただ、技術とは別かもしれませんが、気になるデータがあります。2024年、2025年のLPGAツアーで見ると
渋野日向子選手は最終日のスコアが悪い傾向があります。
特に2025年は4日目の60台がゼロ。唯一60台だったのは、ShopRite LPGA Classic
(3日間大会)の3日目 68 のみ。

つまり最終日に何かが変わってしまう?

そうなんです。
3日目までは戦えるのに、最後に崩れる。

そこは、かなり興味深いですね。あきらかにメンタルの問題です。最終日は何か違う思考がインプットされてしまっているのではないでしょうか。
③ 渋野日向子の強さの正体は?

2019年の渋野日向子を象徴する言葉があります。

スマイルシンデレラだろ?

それもありますが、もう一つ。

バウンスバック?

正解です。
バウンスバックとはボギーのあとにバーディを取ること。
2019年の渋野選手はこの数字がダントツでした。

つまりミスを引きずらない。

心理学ではこれを
リバウンドメンタリティと呼びます。
④ リバウンドメンタリティとは

リバウンドメンタリティとは
ミスの後にすぐメンタルを立て直す能力のこと。
特にスポーツでは
・ミスを引きずらない
・すぐ気持ちを切り替える
・次のプレーに集中する
能力を指します。

2019年の渋野日向子選手は、まさにそれでした。ミスしてもすぐ笑ってましたね。

だからボギーのあとすぐバーディ取れてたんだ。

これはゴルフの試合では
非常に役に立つメンタルマネジメントです。
⑤ しかしリバウンドメンタリティには弱点がある?

じゃあ、そのいいメンタルがあるなら
なんで今は苦戦してるんだろう?

実はリバウンドメンタリティというのは短期回復力なんです。
そしてそれはスランプから立ち直る長中期回復力とは別物なんです。
長中期的には「レジリエンス」というメンタルマネジメント力が必要になります。
最終日が悪いというのはおそらく次につなげようととして
さらに無理をしているんじゃないでしょうか。
そして最終日でスコアを落とすと、それを次の試合まで引きずってしまうという
ネガティブの悪循環が生まれてしまう。
それがスランプという状況を生みだしてしまいます。
| 使うメンタルマネジメント | 強い場面 |
|---|---|
| リバウンドメンタリティ | 試合中のミスを取り返す |
| レジリエンス | 長中期スランプへの対処 |

なるほど。1ホールのミスには対応できても
何年も続く不調は別問題なのか。ツアー生活は長期戦ですからね。
⑥ スランプに必要な力「レジリエンス」

長中期的な逆境を乗り越える力。それがレジリエンスです。
レジリエンスとは
・ストレス耐性
・長中期回復力
・逆境適応力
のこと。
つまりまずは今の逆境を受け入れて
時間をかけて回復してゆくメンタルのゆとりが必要です。

つまり「スイング改造+海外転戦+焦り」というストレスを受け入れて
ゆっくり前に進む気持ちが必要ということか・・・

確かにかなりストレスの多い環境ですからね。

そうなんです。でも畑岡奈沙選手はじめみんなそれを乗り越えてきている。
渋野日向子選手にできないわけがない。
⑦ 「心理的資本」という考え方がある

ここでもう一つ取り上げたいのが「心理的資本(PsyCap)」という考え方です。

出ました!ホリシンの専門分野!

い、いや、そういわれるとなんか照れるなー。
「心理的資本」は4つの要素からできています。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| Hope | 希望(目標) |
| Efficacy | 自信(自己効力感) |
| Resilience | 回復力 |
| Optimism | 楽観性 |
頭文字を取ると「HERO」になります。

ヒーローか。いいねえ。

フカボリさんは戦隊ヒーローが似合うかも。

2019年の渋野日向子選手は、この「HERO」それぞれが非常に高かった可能性があります。
⑧ スマイルシンデレラの現在地は?

渋野日向子選手はいま
・スイング改造中
・米ツアー挑戦、世界中を転戦のストレス
・メジャーウィナーとして結果へのプレッシャー
という大きな壁の前にいます。
しかしトップアスリートの長いキャリアでは
メンタルの再構築の時期が必ず訪れます。

つまり今は壁を越える途中段階?

スイングもメンタルも作り直して、新しいHEROに変身中!

さすが戦隊ヒーロー、いいこと言うね。
ホリシンのメンタル分析<まとめ>「スマイルシンデレラ復活の日」は遠くて近い?!

そう考えていいと思います。ただ「心理的資本」は人材マネジメントの
「キャリア形成」にも使われる概念ですから
多少時間がかかることは覚悟の上で「変身」して欲しいですね。
そして「心理的資本」の中でも
Resilience(長期回復力)がうまく発揮されれば――
スマイルシンデレラの復活は
決して遠い未来ではないと思います。
この話の続きはまた次回に・・・
メンタル分析:メンタルアナリスト/ホリシン(PsyCap Master 心理的資本開発指導士)
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